先日、日本経済新聞にお店の宝石の買取金額についてこの様な記事が出ていた。
色石の中でもメインとなるダイヤモンド、ルビー、サファイヤの3点を
計26社に持ち込み査定金額を依頼した内容であるが、
金額の差は最大で5倍もの開きがあった。
安いところは3点合わせて5万円という金額を見ると、
メインの宝石の査定金額はほぼ見ていないという事になる。
色石の中でもエメラルド、サファイヤは近年市場価値が上昇していて、
一番評価されやすい石であるのにも関わらず。
しかも、日本でも最激戦区である東京の繁華街でこれだけの価格差があるのだから驚きだ。
5~6万円をつけているお店は、単純に買取する人間が宝石の価値が分からないか、
お店の方針で貴金属以外の宝石については、
あまり値段をつけないようにしているかのどちらかだろう。
弊社で買取業務をしている時にも、
宝石の買取のお値段をお伝えした時に、
「他店ではこの宝石は全く価値が無いといわれたのに」と、びっくりされた様子で
話をされるお客さんが少なからずいる。
社名を聞いてみると、折り込みチラシで「宝石もしっかりと評価します」
と大きく宣伝していたりしている会社だったりする。
「宝石は価値が無い」と言われた側からすると、
お店のプロの人間が言うことだから本当にそうなんだろう、
と思う人も相当数いると思うし、
そういった間違った認識を植え付けられてしまった人は、
もうダイヤモンド以外の宝石を買おうとしなくなるのではないか。
宝石は資産に全くならないからと。
ひょっとしたら購入した宝石店に対しても、
あまりいい感情を抱かなくなるのかもしれない。
そうなってしまうと、ただでさえ宝石が売れなくなっている状況に、
さらに拍車をかけることになってしまわないかが心配だ。
以前は宝石の買取というと、
質屋や一部の買取も行っている宝石店がメインで行っていたが、
これだけ全国チェーン店を始めとする、
リサイクルショップが増えてきている状況を考えると、
これからは、「本物」しか残らない時代になると思う。
派手なCMや広告宣伝を打って集客するだけのお店はいずれ淘汰されて、
モノの実際の市場価値が見極められる鑑定士のいるお店だけが生き残っていく時代になると思う。
特にブランド品や家電製品等の定価がはっきりしているものとは違って、
宝石の鑑定は本当の目利きが必要とされる。
宝石を売却する際には、安易なキャッチコピーや口車に惑わされずに、
鑑定士に宝石の知識や目利きの技量がしっかりと備わっているか、
しっかり見極めることが大事だと思う。