一日100食しか売らないことで有名な佰食屋が、今回のコロナの影響で4店舗中2店舗を閉店すると発表がありました。
佰食屋を経営する中村さんは「売上を、減らそう」の著書にもあるように、
売上を求めて従業員に長時間労働を強いることをやめて、
看板メニューに絞って敢えて一日100食しか作らないことで、
飲食業界にありがちな長時間労働を排除して、
それでも十分運営していけるようなビジネスモデルを確立したことで有名です。
日本経済の状況を冷静に考えて売上拡大、利益の拡大を無理に求めず、
働く人それぞれのワークライフバランスを重視した経営を意識する一方、
売上の天井が決まっているので、良くも悪くも資金を貯めにくいやり方とも言えます。
今回のような業界全体を揺るがす逆風が吹いた時に、
撤退の決断が早かったのは自己資金を豊富に持つ大手企業です。
撤退に係る費用は全て本部がもってくれます。
被害を最小限に食い止めるために早期撤退をして、時期を見て再出店する。
それは潤沢な自己資金があればこそ打てる手です。
単純に撤退と言っても設備の処分や敷金の精算など、多額の資金が必要になります。
自己資金に乏しい個人店の場合は、撤退する資金も捻出できず、営業を続けていくしか有りません。
経営は攻めと守りのバランスが大事と常々聞いていますが、
攻めの部分が新規出店や設備投資、人員確保であるならば、守りは財務。
上手くいくときもあれば、当然失敗するときもある。
失敗しても本丸は守れるように、どんなときでも常にリスクを考えて資金確保、または資金を調達できる準備が必要です。
中村さんのビジネスモデルは働く側にとってはたしかに素晴らしいものの、
今回のコロナのようにいつどのようなリスクが発生するのか誰にもわからないもの。
だからこそ稼げる時に稼いどかなくては!という意識も大事ですし、
そこのバランスは非常に難しい。
やはり経営は一筋縄ではいかないなと改めて考えさせられました。