2001年9月頃より「オレンジピンク」もしくは「ピンクオレンジ」のカラーとして有名になった「パパラチヤサファイヤ」が市場に数多く出回るようになりましたが、アメリカのGIAの発表ではその中のサファイヤに、外来添加物であるクリソベリル起源のベリリウム(Be)を高温下でコランダム中に拡散させるという、いわゆるベリリウム拡散加熱処理(Be処理)がされていることが分かりました。
拡散処理というのは表面拡散の意味で、宝石を特殊な処理で表面だけを変色させる処理のことをいいます。特にマダガスカル産のサファイヤは拡散処理が横行しているようです。
鑑別ラボで従来使用されていた蛍光X線元素分析装置等では検出が不可能で、SIMSやLA-ICP-MSといった高感度の質量分析装置が必要となります。当時の鑑定書に「パパラチヤサファイヤ」と表記のあるものでも、単に成分分析をしてBeの検出までの特殊検査をしていないだけかもしれませんので、注意が必要です。
中には通常のピンクサファイヤにベリリウム拡散加熱処理して「パパラチヤサファイヤ」として故意に高額で売りつけるケースもあるため、弊社では鑑別書にパパラチアサファイヤと表示があるものでも、出来る限り慎重に取り扱っています。
Be処理がされているかどうかの確認方法として有効なのが、下記の方法です。
※これらをクリアしても絶対ではありません。
①外縁部にそった色の分布(沃化メチレンによる液浸にてチェック)
②長波紫外線で強いオレンジ色の蛍光が出た場合は要注意。
通常のオレンジサファイヤ、ピンクサファイヤでは赤色蛍光を示すことが多いようです。
上記の画像の左側が「ベリリウム拡散加熱処理」されたサファイヤ。
右側が拡散処理されていないパパラチヤサファイヤになります。