家業を継いで今年で早13年が経ちます。
叔父の仕事の関係で、
それまで八丁堀店を任されていた祖母とバトンタッチすることになり、
鑑定の知識や経験もない状態で、
八丁堀店を担当することになったのが2006年の暮れの頃でした。
質屋業界には昔から鑑定について学べるような、
学校のような機関がなく、
家業であれば親や、
親戚に教えてもらいながら学んでいくのですが、
私の場合は最初から一人でお店を任されていたので、
実践で経験を積みながらひたすら学んでいく作業の繰り返しでした。
幸いにも国内の仕入れ業者や海外のバイヤーが参加するオークションがあって、
買取したものをそこに出品すれば、
実際の市場での価格がすぐに分かったので、
自分の査定の感覚との差をその都度確認することが出来ました。
今思えば、
何とか査定の技術を向上させようと、
必死でした。
長年商売を続けているまるいの看板を背負って商売をしている以上、
お客様に失礼になるような査定は出来ないと思っていました。
逆にそばに経験豊富で頼れるような人がいたら、
少々見れなくてもその人に頼ればいいや、
というような甘えがどこかで出てしまって、
ここまで緊張感を持って仕事が出来なかったと思います。
一人だったことが、
商売に対する必死さを作り出す原動力になりました。
今では八丁堀時代からの多くのお客様に、
段原店にも足を運んでいただいています。
多くの方に支えてもらって今日も商売が出来ることに感謝しています。